アダルトチルドレンからの回復に必要な事があります。それは「理解」です。何故なら「理解=癒し」だからです。
引用元:アダルトチルドレンを生み出す機能不全家族!回復には理解!「幸せになる為に生きていいんだよ!」と自分で自分に言ってあげて下さい。
「アダルトチルドレン」という言葉をご存じでしょうか。
単純に日本語に置き換えてみると「大人子供」。
これは「大人っぽいしっかりした子供」という意味ではありません。
これは私自身の経験からの意訳でしかないのですが、アダルトチルドレンとは「子供時代に大人の役割を持たねば生きることが出来なかった子供」「子供時代に子供らしく生きることが出来なかった子供」であると言えるでしょう。
そして、子供らしく生きることが様々な理由で許されなかったまま年齢を重ねてしまい、青年期や成人、中には老年期になっても、大人になりきれないままの、社会的には「大人」とみなされる人たちを「アダルトチルドレン」と言います。
子供らしく生きることが様々な理由で許されなかった。
たとえば、それにはどんな理由があるでしょうか。
・親(以降、「親」という表現には片親のみの場合も含みます)がアルコール依存症だった。
・親から身体的、性的、心理的に虐待をされていた。
・親が仕事で忙しく、または自分自身が習い事などを強要されており、家族で一緒に過ごす時間が少なかった。
・子供の頃から、家族仲、兄弟仲が悪かった。
・育児放棄をされていた。
・過干渉、過保護に育てられ、自分の意思や自由が認めてもらえなかった。
上記だけがすべてではありませんが、このような理由から、自分が子供らしく、自由にのびのびと生きることが環境的に出来なかった子供が、その環境の背景、つまりは理由を理解しないまま、「自分が悪い子だったからだ」と自責の念を強く持つようになったり、「親が悪いんだ」など、誰かのせいにする習慣がついてしまい、自分で責任を持つことを放棄してしまう状態のまま、社会的には「大人」とみなされる状態になっている大人はとても多いのではないでしょうか。
そのため、「アダルトチルドレン」という状態は、現代の日本においても決して珍しく特異な状態なことではなく、多くの人が実は「アダルトチルドレン」という状態になっていると推測されるでしょう。
しかし、ご自身のご経験に照らし合わせて振り返ってみてください。
・「自分が悪いんだ」と自責の念を強く持つ。
・「親が悪いんだ」など、誰かのせいにする。
この時、あなたの胸の中にはどのような感情が湧き出るでしょうか。
その感情は「楽しい」「幸せ」と思えるものでしょうか。
恐らく多くの人は、「楽しい」「幸せ」とは真逆の「悲しい」「寂しい」「悔しい」「腹が立つ」などの、ネガティブな感情が胸の中に渦巻いている状態ではないでしょうか。
つまり、「アダルトチルドレン」という状態は、とても分かりやすく言えば、「悲しい」「寂しい」「悔しい」「腹が立つ」などの、ネガティブな感情をとても感じやすく、その感情に振り回されてしまい、精神的な疾患を発症してしまったり、最悪の場合は犯罪行為を犯してしまうケースもあります。
さらに、ネガティブな感情を消し去ろうと、他人に対して過度に寄りかかって甘えられる場所を求めたり、他者に対して「役に立ちたい」と過度に世話を焼いてしまったり、他人に対して「価値がある人間だと思われたい」と思うあまり、相手に対して支配的になってしまう、他人から認められる評価を求めて過度に頑張りすぎてしまうなどで、他人との距離関係が適切なものに出来ず、相手に疎まれてしまい、心を開いて付きあえる友達が得られず、常に不安と背中合わせのような感覚が強いという人も多く存在します。
ここで上記の文章で気づいたことはありませんか?
そう。
「他人」という言葉が多用されていることに気づきましたでしょうか。
「アダルトチルドレン」という状態にある可能性が高い人は、行動の基準が「相手にどう思われるだろうか」と、相手の反応や評価を気にすることがとても多いのです。
たとえば食事のメニューを選ぶ際にも、本当は自分はとっても餃子が食べたいと思いながらも「でも、口臭がきついと言われたらどうしよう。嫌われてしまうのではないか。ニンニク臭いと笑われてしまったら、恥ずかしい。」という理由で、本当は食べたいとは思っていなかった別のメニューを選んだりします。
そしてその後も「あー、やっぱり餃子を食べておくべきだったかな。今が会社の昼休みではなければよかったのに」と、「私が本当は食べたかった餃子を食べられなかったのは、周囲の目があるからだ。だから私は配慮をして、別の食事で我慢したんだ」と、本当は自分が周囲に笑われたくない、恥ずかしい思いをしたくないという「回避」が理由だったはずなのに、その判断結果を周囲の責任として無意識に押しつけてしまう傾向があるといえるでしょう。
当然ではありますが、ネガティブな感情を感じやすかったり、食事1つにしても、自分が本来望んでいる選択を捨ててまで周囲の反応を気にしてしまう生き方は「楽しい」とは思えないですよね。
それでは、「アダルトチルドレン」という状態から脱し、ネガティブな感情などから回復していくにはどのようにすればいいのでしょうか。
それは、様々な事に対して「理解」をすることです。
常に「なぜ?」という言葉を自分自身の判断や周囲の行動に対して、心の中で問いかけていき、前向きに解釈をしていくことです。
「なぜ?」というのは、相手を問いただす言葉ではありません。
理由と背景、その経緯を正しく掴み取り、相手やその出来事に対して理解を深めるきっかけにすることです。
なぜ、そのような「理解」が「アダルトチルドレン」という状態である可能性が高い方には必要なのでしょうか。
それは、「理解=癒し」であると言えるためです。
「アダルトチルドレン」という状態は、「子供らしく生きることが様々な理由で許されなかった」ということです。
多くの人が本来は与えられるべきものが与えられなかったら「許せない」と、怒りの気持ちを抱くことでしょう。
「アダルトチルドレン」という状態は、その「許せない」という気持ちが、「悲しい」「寂しい」「悔しい」「腹が立つ」という感情に化けて、あなたの内側に子供の時から癒されていない感情が残っている状態でもあります。
この、あなたの内側でネガティブな感情を持ち続けている子供のことを「インナーチャイルド」といいます。
ネガティブな感情が薄れて行くことを「癒される」と表現すると思います。
インナーチャイルドが抱えているネガティブな感情を消し去ろうとするのではなく、「私は今、すごく怒っているんだな」「すごく悲しいんだな」と、自分の感情を素直に認めること、つまり、自分の感情を「理解すること」が、「癒し」に繋がっていくのです。
そして次に、ネガティブな感情を持ち続けなくてもいいのだよ、と、不要なものを「手放す」ように、自分の内側にいる子供に働きかけていきます。
インナーチャイルドは、ネガティブな感情を持ち続けることで、生きにくい状態から自分の身を守ってきましたから、それを手放すことには強く抵抗してくることでしょう。
しかし、あなたはもう子供ではありません。
子供の時は、親や周囲の大人がいなければ、生きて行くことができませんでした。
だからこそ、大人の顔色や態度に合わせて、自分を押し殺すしかなかったのです。
でも、今はその大人の大人の顔色や態度に合わせて自分を押し殺すようなことをしなくても、あなたは十分に一人でも生きていける力を得ているのです。
自分は一人でも生きていけるのだ、と理解をしていくのです。
それが、ネガティブな感情を抱き続け、ボロボロに傷ついたインナーチャイルドを癒す事にもなるのです。
そして、子供の頃から「自分は悪い子だ」と、親に受け入れてもらえない自分を責める必要もありません。
あなたは悪くありません。それを理解し、認めることも、インナーチャイルドを癒すことになるのです。
逆に「親のせいだ」と、人のせいにしがちな点が多い場合も同様です。
親だって、子供が出来て初めて親になったのです。
分からないことも沢山ありました。育児がこんなにも大変なものだとは想定外だったのかもしれません。
親だって人間ですから、感情的になることもあったでしょう。
それでも、親なりに出来る限りにあなたのそばにいたのは、あなたには自分が必要であり、あなたのことが大切だったからに他なりません。
育児放棄されてしまったとしたら、親が親としての自分に自信が持てず、あなたを不幸にしたくない気持ちがあったからかもしれません。
このように、自分を苦しめた相手にも事情があったのだ。
悪気はなく、愛情が上手く伝えられない人だったのかもしれないと、あなたなりに解釈をして、相手を理解し許すこと。
これも、インナーチャイルドを癒すことになるのです。
アダルトチルドレンという状態からの回復方法は、自分自身や、自分の周囲、自分に起きた出来事を振り返り、改めて理解をし直すこと。
それを重ねていき、インナーチャイルドを癒して行くこと。
それがうまく進むと、きっとあなたは以前のようなネガティブな感情を抱くことも少なくなり、「楽しい」と心から感じることが多くなるでしょう。
そして、自分の食べたい餃子を周囲の反応を気にすることなく食べる事が出来たり、「自分が笑われるのはいいけども、相手に不快な想いをさせたら申し訳ないな」と、自分の評価以上に相手のことを心から考えられる優しさが自然と湧き出てくるようになるでしょう。