白い肌の色を馬鹿にされて

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私が高校生だった頃、野球部に在籍していた。
私の高校の野球部は、当時かなりの強豪で、平日は早朝と夜間、土日は朝から晩まで猛練習をしていた。
高校に入学した時、私は色が白かったので、先輩や同級生、果ては監督からも白人などと揶揄されて、大変なショックを受けていた。特に補欠の先輩からの中傷は酷く、同級生からも、「お前のような色の白い奴が、何でうちの野球部にいるんだよ。」などと馬鹿にされ、まだ16歳の少年だった私は、心に大きな傷を負っていました。
野球なんて辞めてしまおうと、何度も思って大部届けを出そうとしたが、その度に、毎日弁当を作ってくれる母のことが脳裏をよぎり、提出を思い留まっていた。
馬鹿にされても、ただただ猛練習に参加し、真っ黒に日焼けする周囲を羨ましく思いながらも、私は日に焼けない自分の肌を憎みながら、レギュラー奪取に、甲子園出場へと意欲を燃やし、歯を食いしばって全てに耐えた。
一生懸命練習する姿に、やがて私を理解してくれる仲間も増え、応援してくれるクラスメイトも出てきた。
担任の先生に、悩みを打ち明けると、「そんなことは気にするな。お前は一生懸命、毎日練習しているじゃないか。勉強だって頑張ってる。全てにがんばるお前の姿を馬鹿にする奴なんて、放っておけばいい。意識するなと言っても難しいかもしれないけど、野球は肌の色でやるスポーツじゃない。実力があればプロへだって行けるんだ。実力だ。頑張れ。」と、心からの励ましをしてくれた。
担任の先生の励ましが、私には最も励みになった。
監督は、私を呼ぶとき、「そこの白いの!」と言っていた。私にはとても辛い言葉だったが耐え抜いた。「早く監督に名前をきちんと覚えてもらい、レギュラーになろう。そして白いのなんて言わせないようにしよう。」私は、心にそう誓った。
私の高校には、スポーツセレクションがあったが、私は一般入試で入学し、野球部に入部したので、監督にはなかなか名前を覚えてもらえなかった。
やがて、レギュラーに近づくきっかけが、私に回ってきた。夏の甲子園予選、初戦で対戦する投手が左投げだった。私は左投げ左打ちだったので、監督から、「そこの白いの!投げてみろ」と言われ、レギュラーバッティングで登板することになった。私は中学時代、無名だったが強肩で鳴らした投手だった。地元では有名だった強打者達を、三振の山、凡打の山に打ち取った。後で知ったが、レギュラーの打撃を視察に来ていたプロのスカウトのスピードガンは、150キロを越えていたそうだった。そして、私の投球に驚き、なぜレギュラーどころかベンチにも入っていないのかと、監督に聞かれたそうだった。
その後、監督に名前を覚えてもらい、「白いの!」などと言われなくなった。
その年の夏は間に合わなかったが、秋から私は豪腕エースとなり、甲子園に夏2回、春1回出場することが出来た。プロからのスカウトも来たが、大学へと進学した。当時のスカウトにも肌の色のことを話したが、「何を馬鹿なことを言ってるんだ。関係ない。」と言われた。生きる上で、とても大きな自信に繋がった。

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